早稲田大学の学生さんで、早稲田大学のロボット研究の歴史を映像化したという学生さんと話す機会がありました。ロボットの応用分野で「医療」という言葉が出たため、制度面などで容易でない現状があることを話し、日本ロボット学会の下記のロボット工学セミナー「デスバレーを乗り越える手術支援システム」のことを紹介しました。
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◆◇◆日本ロボット学会ロボット工学セミナーのお知らせ◆◇◆
■第49回シンポジウム
「デスバレーを乗り越える手術支援システム」
■日時:2008年11月19日(水) 10:00-16:10
■会場:中央大学 後楽園キャンパス6号館 6209教室
(http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/access/access_korakuen_j.html)
■定員:60名(定員になり次第締め切らせていただきます)
■参加費:会員/協賛学会員 8,400円,
学生(一律) 4,200円,会員外 12,600円(税込)
■口上:
なかなか実用化までたどり着けない手術支援システム.原因として日本の医療制度や薬事法承認の困難さなどがよく取り上げられています.
しかし本セミナーでは,制度や法律を言い訳にせず,研究開発と臨床の間でデスバレーを乗り越えるために日々努力されている医学,工学,産業界の先生方に,医療機器認定を受けるために必要な取り組みや,工学的にまだ解決しなければならない課題などについて,ご講演いただきます.
■講演内容:
<開会挨拶・講師紹介> 10:00〜10:10
第1話 医療機器ガイドライン「ナビゲーション医療分野」
:手術用のロボット機器の開発ガイドライン
10:10〜11:10 産業技術総合研究所 鎮西清行
厚生労働省,経済産業省では医療機器ガイドラインを策定してきました.その一つとして手術ロボット,手術ナビゲーションをカバーする「ナビゲーション医療分野」開発ガイドラインが公表されています.その内容,特に一般的なロボット開発の過程では出てこない事柄(医療機器に求められる電気的安全性,生体への安全性など)と,その応用事例としてNEDO研究開発プロジェクト「インテリジェント手術機器」で行っている取り組みについて紹介します.
第2話 医療機器医師主導治験の経験(中)と今後の展開
11:10〜12:10 東京女子医科大学 伊関 洋
医師が最新の医療機器を使って,より良い治療結果を挙げようとするモチベーションを向上させる仕組みやインセンチブが必須である.特に,開発中にどんどん進歩するのが機器の特徴であり,機器の進歩と医師の技量向上を見越した柔軟な薬事制度が必要である.研究・開発・審査が同じ土俵で議論(レギュラトリーコミュニケーション)できるようにする医療機器開発のためのレギュラトリーサイエンスの確立が急務である.同時に医師及び機器開発研究者のプロトコル作成能力向上こそが必須であり,従来,一番大事なことでありながら最も欠けていた部分である.
<休憩(昼食)> 12:10〜13:10
第3話 研究室から臨床現場への技術発信と実用化における融合環境構築
13:10〜14:10 東京女子医科大学 中村 亮一
工学系研究室から臨床現場への医用工学技術の送信と実用化には,学術研究としての側面はもとより,それを越えた様々な克服すべき問題点やノウハウ,コミュニケーション能力が要求されると考える.異分野・異業種である臨床医療現場と工学系研究畑の間で,連携研究による新しい医療機器・ロボットの創出を目指す上で,文化交流・相互理解から連携研究の推進と臨床応用までのフェイズにて演者が経験した様々の事項の中から,事業推進のポイントと考える部分と将来への提案について紹介したい.
第4話 MSM鉗子システムの製品化について
14:10〜14:50 瑞穂医科工業(株) 落合真
QOL(Quality of Life)の観点から,患者に対し低侵襲な手術が求められ様々な機関で研究開発が行われている.東芝・慶応大学は,NEDOにより低侵襲手術器具開発の一環としてMSM(Master Slave Manipulator)鉗子を開発した.このMSM鉗子の製品化をフジノンと瑞穂医科工業が行っているが,製品化にあたり必要となる技術,コストや洗浄性・滅菌性など,製品に落し込む際のデスバレーについてメーカの視点から報告する.
<休憩> 14:50〜15:00
第5話 テーラーメイド血管内手術シミュレータの事業化
〜技術シーズを活かした大学発ベンチャー創出の一事例〜
15:00〜16:00 ファイン・バイオメディカル(有) 池田誠一
私は,博士課程での研究課題であった「テーラーメイド手術シミュレータ」 をもとに,名古屋大学での医工連携研究の成果として,平成17年5月にベンチャー企業(ファイン・バイオメディカル有限会社)を起業しました.本講演では,私が,学生として研究を行っていた頃から,創業直後の不安定な時期を経て,現在の製品普及段階を迎えるまでに経験したことを,人々との出会いや,資金面/人材面等での苦労,思い掛けず訪れた事業の変遷などの実例を中心にドキュメンタリー形式で紹介します.
<閉会挨拶> 16:00〜16:10
■最新情報は,WEBサイト「日本ロボット学会主催・共催行事 最新情報」
よりご確認下さい. http://www.rsj.or.jp/events/
―本件に関する連絡先――――――――――――――――――――――――
【お問い合わせ】
(社)日本ロボット学会 ロボット工学セミナー係 Email: seminar@rsj.or.jp
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社団法人 日本ロボット学会
〒113-0033 東京都文京区本郷2-19-7 ブルービルディング2階
TEL 03-3812-7594 FAX 03-3812-4628
http://www.rsj.or.jp/
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他力本願で情けないのですが、マスメディアの諸氏に「これこれのロボットができた」という報道だけでなく、ロボットを普及する上での制度的な課題についての報道も取り扱かって欲しい、などと考えてしまいます。(ジャーナリストとしてはそちらの方が仕事としてのやりがいがあると思うのですが・・)
2008年10月23日
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ロボティックシステム(九州大学、(株)日立製作所、(株)日立メディコ、瑞穂医科工業(株)、東京大学、早稲田大学)」など完成したロボットは薬事認可が得られればすぐに普及するのではありませんか。
これなど制度の問題であってロボット制作側は手を拱くしかないと思われますが。
そういう観点からお読みください。